奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

自分を開くこと(谷口 知聡さん)

谷口 知聡さん/Ms. Chisato Taniguchi
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2024.07.26 ]

パリ国立高等音楽院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生ピアノの谷口知聡です。

貴重な御支援に支えて頂き早一年となりました。

 

<音楽院近くの運河の景色>

円安や物価高といった厳しい生活の中で、演奏に集中し自分自身に向き合うことの出来る環境にあることは信じがたく、日々この有り難さを身にしみて感じています。

改めましてこの大きなお力添えに心より感謝申し上げます。

 

 

今年度の後半は、まず音楽院で取り組んでいる室内楽のグループとして、一年間参加していたアカデミーの修了演奏会に出演した他、6月に行われた年度末試験に2台ピアノと2人のパーカッショニストの編成で臨み、大変なプログラムに苦戦しながらも « très bien à l’unanimité avec les félicitations du jury »という最高評価を頂くことが出来ました。

この評価を頂くのは初めての経験でしたが、来年度の修了リサイタルに向けてより一層気を引き締めて学び続けたいと思います。

 

<音楽院の年度末試験を終えて>

 

 

ソロの活動では、長年の課題に悩み向き合いそして試行錯誤する半年となりました。

 

1月に出演したスイスでのリサイタルを機に、昔からの課題に今向き合わなければ音楽的にも今後のキャリアにおいても前進することは出来ないと感じ、丁度御世話になっている方にもズバリ感じていた事を御指摘頂きました。

無意識にがんじがらめになってしまっていたステレオタイプな価値観、あるいはこうでなければならない、これをしてはいけない、という必要のない制約で自分を縛っていたことに気が付き、これまで持ち得なかったアイデアに出会う可能性さえも自分で閉ざしていたことを認識しました。

 

<フランス、モンソロー城でのリサイタル©️Florence>

 

舞台で音楽を共有出来る大きな喜びにはいつも抱えきれない程の恐怖を伴うことも事実で、その両方を受け止めながら前進するためにこれからも柔軟に音楽に向き合い続けたいと思います。

そして視野を外向きに持ち俯瞰しながら今後のことを見据えていきたいと思います。

 

<ハンブルクのアルゲリッチ音楽祭、素晴らしいピアニストの皆様と>